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運動が苦手な子どもは、どのクラスにも必ず数人います。
- ボールがうまく蹴れない。
- 縄跳びのタイミングが合わない。
- ダンスの振り付けを覚えても、体がついてこない。
そういう子を見て、私たち大人はつい「練習が足りない」「やる気がない」と思ってしまいがちです。

その運動の苦手さはDCD(発達性協調運動障害)かもしれません。
DCDとは発達特性を持つ子は同時に持ちやすい、発達障害の一つです。
ADHDやASDの特性と同じように、練習や根性でどうにかなる問題ではありません。
この記事では、運動大嫌いな我が家の発達障害グレーゾーンの小5長男を元に、DCD(発達性協調運動障害)とはどんなものかをわかりやすくお伝えします。
DCD(発達性協調運動障害)とは何か?

DCDとは、Developmental Coordination Disorderの略で、日本語では「発達性協調運動障害」と呼ばれます。
「協調運動」とは、目・手・足・体幹など複数の部位を同時にうまく連動させる動きのこと。
歩きながらボールを蹴る、音楽に合わせて体を動かす、箸を使いながら皿を押さえる。
私たちが「当たり前」にやっていることのほとんどが、実は高度な協調運動です。
DCDのある子どもは、知的な発達に遅れがなく、視力や筋力にも問題がないにもかかわらず、この協調運動が著しく困難な状態にあります。
よく「極端に不器用な子」「運動音痴」と見過ごされがちですが、本人の努力不足ではなく、脳からの運動指令の伝わり方に特性があることが分かっています。
怠けているのでも、練習が足りないのでも、わざとやっているわけでもありません。
脳が体への指令を出す仕組みそのものに、生まれつきの困難があるのです。
DCDの診断
診断基準をわかりやすく解説
DCDの診断は、簡単にいうと次の4つの条件がそろったときに診断されます。
- 同じ年齢の子どもと比べて、運動がはっきりと苦手であること。「ちょっと苦手」ではなく、日常生活や学校生活に支障が出るレベルであることが基準。
- 体育の成績が悪い、着替えが遅い、文字が極端に書きにくい、遊びに参加できないなど、生活の中で具体的な困りごとが起きていること。
- 知的障害・視覚障害・脳性麻痺・神経疾患などが原因ではないこと。
- 突然できなくなったのではなく、幼いころからずっとそういう傾向があったこと。
我が家の長男は幼い頃からあまり積極的に運動するタイプではありませんでした。
小学生になり、運動会やパルクール、水泳など、運動をしないといけないことが増えてくると、精神的に不安定に…。
特に運動会への拒絶感はものすごく、学校側に伝えて小4まで見学させてもらっていました。
小5で初めて参加することができたのですが、ダンスがなかなかできず、ジャンプしながら足を片足出すなどの同時作業が難しいようでした。
はたから見ると「やる気のない子供」にしか見えませんでしたが、本人的には精一杯だったと思います。

ASDのある子どもにも、体の動かし方のぎこちなさや感覚の過敏さからくる運動の苦手さが見られます。DCDとASDが重なっている場合、集団でのダンスや球技は特に大きなストレスになるようです。
もしかして…DCDでは?と感じたら
「できないことを無理に直す」のではなく、「体と脳のつながりを少しずつ育てていく」視点で関わる事です。
「どうにかしてあげたいけど、どうしたらいいんだろう…」と悩む方に、親として出来る事をまとめました。
① リズムに合わせた「楽しい」体験から始める
発達特性を持つ子供にとって「できない体験」の積み重ねは深刻な自信の喪失につながります。
だからこそ、訓練の入り口は「楽しさ」でなければいけません。
体全体を動かすことへの苦手感を取り除く前段階として、リズムを耳と手で感じることから始めるのがおススメです。
- 好きな音楽に合わせて、手拍子だけする
- 太鼓や打楽器のおもちゃで、リズムを叩く
- 音楽ゲーム(太鼓の達人など)を一緒に楽しむ
「音楽って楽しい」「リズムに乗れた」という小さな成功体験が、体を動かす意欲の土台になります。

小学生高学年の男子にはゲームがおススメです
長男は音楽に全く興味がなかったのですが、太鼓の達人をやり始めてからは「この音楽好き」と言ったり、リズムをとったりすることが徐々に増えてきました。
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②バランスボール・トランポリンなどの固有覚刺激
DCDの背景には、感覚処理のアンバランスがあることが多いとされています。
「固有覚」「前庭覚」この2つの感覚を日常的に刺激することが、協調運動の発達に効果的です。
筋肉や関節が今どんな状態にあるかを脳に伝える感覚のこと。
この感覚が弱いと、自分の体がどこにあるかを正確に把握できず、思ったように体を動かせません。
体のバランスや加速度を感じる感覚で、耳の奥にある内耳が担っています。
ここが未発達だと、姿勢を保つことや、動きながら別の動作をすることが難しくなります。

バランスボールやトランポリンなど簡単に体を動かす事ができるグッズを取り入れるのがおすすめです。
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① 作業療法(OT)による感覚統合療法(SI)
DCDの専門的支援として、現在最も根拠のあるアプローチのひとつが作業療法士(OT)による感覚統合療法です。
感覚統合療法とは、遊びや活動を通じて、感覚情報を正しく整理・処理できるように脳にアプローチします。
セラピストは子どもの状態を丁寧に評価した上で、その子に合った活動プログラムを組んでくれ、家庭でできる自主練メニューを一緒に考えてくれることも多いです。
「何をすればいいか迷っている」という保護者にとって、最初の相談先としておすすめ。
作業療法士は、リハビリテーション科を持つ病院や、発達支援センター、児童発達支援施設などに在籍しています。
まずは行政の発達相談窓口に問い合わせると、近くの施設を紹介してもらえることがあります。
② 理学療法(PT)との連携
理学療法士(PT)は、体の動きそのものに特化した専門家です。
理学療法士は筋力・姿勢・バランス・歩き方など、体の基礎的な運動機能に重点を置いたアプローチをとります。
体幹が弱くてすぐ姿勢が崩れる、走り方がぎこちない、転びやすいといった困りごとには、理学療法士のサポートが特に有効。
作業療法士と理学療法士がチームで関わっている施設も多く、両方の視点を組み合わせることで、より効果的な支援が可能になります。
③ DCDに詳しい小児科・発達外来への相談
「専門の病院はハードルが高い」という場合は、小児科または発達外来への相談が1番ハードルが低く相談しやすいです。
ただし、DCDはまだ日本での認知度が低く、すべての小児科医が詳しいわけではありません。事前に「DCDの可能性について相談したいが対応できるか?」の確認が必要です。
持参すると役立つもの:
- 学校や習い事での困りごとをメモしたもの
- 家庭での様子を録画した動画
- これまでの健診記録
専門的な評価が必要と判断された場合は、作業療法士や理学療法士、臨床心理士などへの紹介状を出してもらえることがあります。
まずは「相談しに行く」という気軽な気持ちで良いかと思います。
親にできる心のサポート
DCDのある子どもは、日々の生活の中で「またできなかった」という体験を積み重ねています。
体育の授業、ダンスの練習、友達との遊び——その一つひとつで感じる小さな敗北感が、やがて「自分はダメな人間だ」という自己否定に変わっていきます。
そして、挑戦する事を諦め、ゲームなどの現実から逃げられるものにのめりこんでいきます。
①「できない」を責めない声かけ
まず知っておいてほしいのは、発達特性のある子どもは、すでに誰よりも自分を責めているということ。
ここに周りからの「なんで?」などの責める言葉をかけられると、「自分は何をやってもダメ」というマイナスの感情が脳にがっちり固定されていまします。
たとえ軽い気持ちで口をついて出たとしても、その子の心には「やっぱり自分はダメだ」という確信として積み重なっていきます。
責めているつもりがなくても、責めている言葉があるということを、まず親自身が知ることが大切です。
「できない」と言われた時、「大丈夫!頑張ればできるよ」と言いがちですが、子供からすればできないという気持ちを否定された、分かってくれないと感じるでしょう。
アドバイスや励ましではなく「共感を常に頭に置く事」が大事です。
まとめ|早めに動くことで、変わることがある

DCDは、適切なサポートがあれば、日々の困りごとを大幅に減らすことができます。
脳と体のつながりが柔軟な子供の時期に、感覚統合療法や家庭での働きかけを通じて、少しずつトレーニングすることができます。
「様子を見よう」と思っているうちに、子供の自己肯定感だけが静かに削られていく。
そのことが、いちばん心配なことです。
診断の有無にかかわらず、「この子には困りごとがある」と感じたその日から、簡単にできることから始めましょう。




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